手術に関して

白内障手術を徹底解説!手術の流れ・費用・術後の生活まで詳しく解説

1.白内障手術ってどんな手術なの?

白内障手術の概要:

白内障手術とは、カメラで例えるとレンズを交換することに該当します。加齢等で、濁った水晶体を取り除き、その代わりに透明な人工のレンズ(眼内レンズ)を眼の中に挿入します。

内容を聞くと大変そうだなと感じられるかもしれませんが、手術の技術向上、機器の進歩によって、短時間での手術が可能になっています。当院では日帰りで通常手術時間は5分ほどです。手術後はしばらく休んでいただいて、帰っていただきます。

人工のレンズを目の中に縫い付ける手術が必要な方もいます。当院では、そのような患者様の手術にも対応しています。

 

白内障手術の必要性:

「白内障の患者様から手術は必要ですか?」とよく聞かれます。白内障用の目薬の目的は、進行を遅らせることであり、白内障が治るわけではなく視力は回復しません。

「白内障の治療」は手術しか方法がありません。白内障手術は、濁った水晶体を取り除き、透明な眼内レンズに入れ替えることで、症状を改善することが目的です。

そのため軽度な白内障であれば目薬をして、進行の様子見を行うのも手ですが、白内障が自然治癒したり、目薬で回復することはないということを覚えておく必要があります。

 

白内障手術の費用:

白内障手術は、健康保険適用の単焦点眼内レンズと選定療養、自由診療の多焦点眼内レンズがあります。

多焦点レンズは、種類によってさまざまですが約20万円以上の費用がかかります。

 

眼内レンズの種類と選び方

単焦点レンズ:1点の距離に焦点を合わせた眼内レンズです。

多焦点レンズ:2点または3点の距離に焦点を合わせた眼内レンズです。

優先度によって様々ですが、一般的な選び方は生活の中でよくあるシーン、または、クリアな視界でやりたいことを考えてみるといいでしょう。以下が目安となります。

・スマホを見る機会が多い、読書、日記等を書くことが多い→近距離レンズ

・食事、買い物、料理、お化粧→中距離レンズ

・車の運転、映画、スポーツをする→遠距離レンズ

 

2.白内障手術の流れ:検査〜手術まで

当院では日帰り手術を行っています。

大きな流れとして、手術前に来院→手術→手術翌日→手術後の経過観察の来院となります。

 

手術前の来院

 

手術当日

手術の翌日

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3.白内障手術の術式と使用する機械について

超音波乳化吸引術(PEA+IOL)

超音波を利用し、水晶体を乳化して取りのぞき、眼内レンズ(IOL)に置き換える手術法です。2~3ミリ程度の切開部から小さな超音波プローブを挿入し、プローブで濁った水晶体を小さく砕いてから吸引します。そして、元の水晶体があった場所に眼内レンズを挿入します。

水晶体嚢外摘出術(ECCE)

眼球を大きく切開して水晶体を砕かずに水晶体嚢を残して取り出す手術です。現在は超音波手術ができない場合、進行した硬い白内障、水晶体を支える部分が弱く超音波に耐えられない場合などに行っています。

水晶体嚢内摘出術(ICCE)

眼球を大きく切開して水晶体全体(核と皮質を含む)を水晶体嚢ごと取りのぞく方法です。ECCEと同様で超音波手術ができない場合に限られ、特殊な症例のみで使用されています。

使用する機械(コンステレーションビジョンシステム)

白内障・硝子体手術を同時に行う事のできる最新の手術装置です。安全で低侵襲の手術が可能です。手術時間も短く、患者様への負担が減ります。白内障・硝子体の同時手術はもちろん、眼内レーザー、シリコンオイル注入、ガス注入など、あらゆる機能が搭載されています。

 

4.白内障手術の費用と保険適用について

一般的な手術費用の目安

健康保険が適用されるかどうかで費用は大きく異なります。

健康保険適用である「単焦点レンズ」+「超音波手術」の場合の費用の目安は以下となります。

 

両眼の場合

健康保険負担割合 費用目安
自己負担割合1割の方 約18,000円
自己負担割合2割の方 約18,000円
自己負担割合3割の方 約100,000円

 

片眼の場合

健康保険負担割合 費用目安
自己負担割合1割の方 約17,000円
自己負担割合2割の方 約18,000円
自己負担割合3割の方 約50,000円

※自己負担割合がどれにあてはまるかわからない方は、日頃病院に受診されている際の負担割合だとおもってください。詳しくは健康保険発行の窓口にご確認ください。

※高額療養費制度も適用できます。

 

高額療養費制度 

医療機関、薬局の窓口で支払う医療費が月(1日〜末日まで)の上限額(自己負担額)を超えた場合に、超えた分は健康保険から補填される制度です。自己負担額については、年齢や所得によって異なります。

外来診療の場合

・69歳以下の方(現役並みの所得の70歳以上の方) 上限は様々です。

・それ以外の70歳以上の方 8,000~18,000円 また年間上限144,000円

※70歳以上で負担割合が1割・2割の方は限度額認定証の提示がなくても18,000円以上はかかりません。

詳細は厚生労働省のホームページにある「高額療養費制度を利用される皆さまへ」をご参照下さい。

 

・当院での取り扱いのあるレンズ

単焦点レンズ(健康保険適用) 選定医療の多焦点レンズ(多焦点レンズ代は全額自己負担) 自由診療の多焦点レンズ(白内障手術代を含め全額自己負担)
AMO社

テクニスワンピースVBSimplicity

以下に詳しく記載 RayOne Trifocal       

インテンシティ(5焦点)

※選定療養とは、患者さんご自身が選択して受ける追加的な医療サービスで、白内障の手術は通常の保険医療で受けることが出来、追加の費用(多焦点のレンズ代)のみ全額自己負担となります。令和2年4月より術後の眼鏡装用率の軽減を目的とした多焦点眼内レンズを使用する白内障手術は、厚生労働省が定める選定療養の対象となりました。

多焦点レンズの種類 特徴 多焦点レンズの金額 製品画像
テクニス シンフォニー VB エクステンデッド デプス オブ フォーカス(EDOF)技術を採用し、遠距離から中距離、近距離まで幅広い視界を提供する次世代型の多焦点レンズです。従来の二焦点レンズと比較して、視界の連続性を重視しています。 200,000円
テクニス シンフォニー トーリックVB シンフォニー VBの特徴に加え、乱視矯正機能を搭載した多焦点トーリックレンズです。乱視がある方でも、遠距離から中距離、近距離まで広い視界が確保できます。 250,000円
アルコン アクリソフ IQPanOptix シングルピース 遠距離、中距離、近距離の3つの焦点を提供する「三焦点型」多焦点レンズです。日常生活のあらゆる距離での視界を確保し、特に近距離の作業に優れています。 290,000円
アルコン アクリソフ IQPanOptixトーリック シングルピース PanOptixの特徴に加え、乱視矯正機能を持つ三焦点型トーリックレンズです。乱視がある方でも、クリアな遠距離から近距離までの視界が得られます。 330,000円

※当院は多焦点眼内レンズの白内障手術を行う医療機関として届出をしています。多焦点眼内レンズの対象となる患者様には診察時に詳細をご説明いたします。

自由診療の多焦点レンズ 特徴 金額(レンズと白内障手術代含む) 製品画像
RayOne Trifocal RayOne Trifocalは、遠距離・中距離・近距離の3つの焦点を持つ「三焦点型」多焦点レンズです。このレンズは、日常生活での視力要求を広範囲でサポートするために設計されています。特に、光利用効率とコントラスト感度を最適化した設計が特徴です。 400,000円
インテンシティ(5焦点) インテンシティは、業界で画期的な「5焦点型」の多焦点レンズです。遠距離・中距離・近距離に加え、それぞれの間の視界も補完することで、さらに滑らかな視界の連続性を実現しています。 550,000円

 

5.白内障手術の合併症のリスクと後遺症 

眼内炎

細菌感染による炎症で、重篤な場合は失明する可能性があります。

チン小帯断裂

水晶体をまわりから支えて固定している無数の非常に細かな線維状の組織のことで、部分的に切れてしまうことがあります。

駆逐性出血

手術中または手術後に、血圧の上昇などをきっかけに眼底の血管から急激かつ大量の出血が生じる合併症。

嚢胞様黄斑浮腫

白内障手術の術後早期に起こる網膜のむくみ(腫れ)です。原因ははっきりとしていませんが、予防のためには術後の点眼をしっかりして頂くことが大切です。

 

6.白内障手術後の見え方の変化と注意点

手術後どれくらいで見えるようになるか

翌日には見えるようになるのが一般的です。個人差が大きく、安定して見えるまで1か月ほどかかる場合もあります。

見え方の変化

まぶしくかんじたり、黒いものが飛んでみえる、青みがかって見えるなどがあります。これは白内障で濁っていたことの反動でもあるためです。

メガネを購入するタイミング

見え方は翌日から変化が出ますが、視力が安定するまでに1か月はかかります。そのため、メガネを購入されたい場合は手術後1か月以上経ってから買うほうが望ましいです。手術直後に買ってしまうと、合わなくなったとすぐに買い直すことにつながってしまうことがあります。

 

7.白内障手術のQ&A

Q病気もあり、20代ですが白内障手術をする予定です。どのようにレンズを選べいいのでしょうか?

A単焦点レンズの場合、焦点が1つしか選ぶことができないため、自身の生活スタイルで合うものがいいとおもいます。元々近視でスマホを使う機会が多い方であれば、近距離のものが不便さを感じづらいかもしれません。受診いただければ、相談に応じます。

Q白内障手術後の日常のお手入れ方法はありますか?

A手術直後はさまざまな注意点がありますので、手術前に説明します。術後の点眼はとても大切ですのでご自身の判断でやめずに次の受診まで続けてください。術後落ち着いたら日常的に特別なお手入れは必要ありません。

 

Q周りから手術を勧められています。適切なタイミングはありますか?

A白内障の根本的な解決方法は手術しかありません。進行している場合は早めの手術をおすすめしていますが、個人の事情により適切なタイミングはさまざまです。ご相談いただければ、適切な時期も提案いたします。患者様から早くやっておけばよかったとよくお話をいただきます。

 

Q片目のみ手術の予定です。視力をガチャ目(視力差がある。右は近く、左は遠くが見えるようににしても問題ありませんか?

Aモノビジョンといわれるやり方ですが、もともと視力差がある方等でなければおすすめしづらいというのが実情です。やはり見え方に大きな差ができてしまい、違和感を感じることが多いです。十分に検討する必要があります。

 

8.まとめ

白内障手術は、視力を回復し、日常生活の質を向上させるための有効な治療法です。現代では安全性や快適さが向上し、多くの方が短期間で手術を受け、術後の生活を楽しんでいます。

この記事では、手術の流れ、費用、使用する機器、眼内レンズの選び方、さらに手術後の注意点やQ&Aについて詳しくご紹介しました。これらの情報を通じて、白内障手術についての理解が深まり、安心して手術を検討いただければ幸いです。

ご不明な点や具体的なご相談は、ぜひ当院にお問い合わせください。視力回復を通じて、より快適な生活をサポートいたします。