#CASE 02目の痛み・目の奥の痛み

01目の痛み・目の奥が痛い場合の原因は?

「ズキズキ」「チクチク」「こめかみの痛み」などの目の痛みはその場所や感じ方によって、原因が異なると言われています。大きく分けると、眼球表面の痛みと眼球の奥の痛みに分けられます。
眼球表面と眼球の奥の痛みの主な原因は以下が考えられますが、眼球の奥の痛みの場合は疾患が原因である場合が多いため、注意が必要です。痛みが数日以上続いている場合、明らかな変化がある場合は早めに受診しましょう。

主な原因

パソコンやスマートフォンの使いすぎ

画面を長時間見つめることで、まばたきの回数の減少、目の使いすぎ(毛様体筋の緊張)、涙不足が起こっていることが考えられます。

精神的ストレス

精神的ストレスが身体の緊張を起こし、肩こりや頭痛を引き起こすことで、目の痛みが出る場合があります。また、自律神経の乱れにより、血行が悪くなり、筋肉が緊張することで、目の筋肉が疲労し、目の痛みに繋がることが考えられます。

女性ホルモンの乱れ

加齢とともに女性ホルモン(エストロゲン)が減少し、涙の分泌量や質の変化を引き起こす場合があります。月経前のエストロゲンの変動により自律神経が乱れ、全身の不調や目への血行不良が起こり、目の疲れや痛みを感じやすくなることが考えられます。

室内の乾燥

エアコンの効いた室内では、湿度が減少しがちになります。湿度が減少し、乾燥すると、涙を早く蒸発させてしまいます。涙は目の表面を潤わせ、保護する役割があるため、涙の蒸発が目を乾燥させ、痛みを感じやすくさせると考えられています。

コンタクトレンズの長時間の使用

コンタクトレンズにより角膜に酸素を供給することが妨げられるため、長時間の使用で角膜が酸素不足になることがあります。結果、炎症を引き起こし痛みに繋がることがあります。

その他の疾患

さまざまな疾患が考えられますので、次の項目で詳しく説明します。

02目の奥が痛む原因となる疾患の例と対処法

目の奥の痛みには様々な原因が考えられます。
深刻な病気の症状として表出している場合もあるため、放置せず一度受診することが大切です。
詳しく見ていきましょう。

目の病気が原因の場合

目の病気① 眼精疲労の場合

【 疾患例 】目を酷使し続けることが原因です。パソコンやスマホの長時間の使用で目の筋肉が緊張することで起こります。長時間の近距離の作業や小さな文字を読むことなどで目に負担をかけることになります。

【 対処法 】・目の休憩
30分程度作業が続いたら一度目を閉じたり、遠くを見るなどして、目は近くを見ると緊張状態になりますので、緊張を開放するようにしましょう。
・明るさの調節
パソコンやスマホであれば、明るさを調節しましょう。画面の明るさと周囲の明るさを合わせることで目に負担をかけないようにしましょう。

目の病気② 緑内障の場合

【 疾患例 】主に眼圧の上昇により、視神経が損傷し、視野が狭くなる病気です。初期症状で自覚できる症状がないため、進行してから初めて気づくと言われています。すべての患者さんが目の奥の痛みを訴えるわけではなく、緑内障でも急性緑内障発作と言われる状態になると、激しい目の痛みが起こります。眼球が突き刺されるような痛みがあり、視力も急激に低下し、頭痛や吐き気も起こることがあります。

【 対処法 】少しでも視野に違和感があれば、早めに受診することを強くおすすめします。視野が狭くなるのに気づきにくいのは、症状が両目同時に起こるわけではないため、良い状態の片目により視野が補完され、変化に気づきにくいことが要因と言われています。ただし、失われた視力や失った視野が回復することはありません。緑内障の治療は回復ではなく、これ以上視力を失わないために進行を遅らせる治療になります。

目の病気③ 閃輝暗点(せんきあんてん)の場合

【 疾患例 】視界にギザギザした光や模様が見え、それが徐々に広がっていくような症状のことです。脳の血管が一時的に収縮し、視覚に異常が起こると言われています。10〜20分程度で落ち着くことが多いですが、脳の血管が収縮した際に、目の神経を刺激し、目の痛みや片頭痛を併発することがあります。

【 対処法 】頭痛を伴わない場合と頭痛を繰り返す場合で対処法は違います。頭痛を伴わない場合は一時的な見えにくさのみのため、しっかりと休養を取りましょう。もし、頭痛を伴わず何回も繰り返す場合は他の疾患の可能性があるため、脳神経外科や神経内科の病院を受診しましょう。また、頭痛を繰り返す場合も、脳神経外科や神経内科の病院を受診しましょう。もし、目の痛みと頭痛の判断がつかない場合は、まずは眼科へ相談しましょう。

目の病気④ 眼窩蜂窩織炎(がんかほうかしきえん)の場合

【 疾患例 】眼窩(がんか)とは眼球が収まっているくぼみのことを言います。この眼窩の組織が細菌などの感染により炎症(蜂窩織炎:ほうかしきえん)を引き起こすと、目の痛みのほか、まぶたの腫れ、充血、視力低下などが生じます。程度によっては発熱などの全身症状が出ることもあります。一般的には入院が必要になります。

【 対処法 】眼窩蜂窩織炎では、十分な治療を行わないと重症化し、失明に繋がることもあります。診断を確定するためにCT検査やMRI検査が行われ、抗菌薬の投与が静脈から行われます。また、膿が溜まっている場合は外科手術により膿を排出する場合もあります。放置すると視力障害や生命に関わる合併症を引き起こす可能性があるため、早期の診断と治療が重要です。明らかな、まぶたの腫れ、発熱などの症状がある場合は、すぐに眼科を受診しましょう。

目の病気⑤ 視神経炎の場合

【 疾患例 】症状としては片眼(まれに両眼)に数日~1週間程度の期間で急激に進行する視力低下や視野障害が生じ、目の奥の痛みや頭痛を伴うことが多いのが特徴です。放置すると、1日から数日以内に失明してしまう可能性があります。
視神経とは、眼球(網膜)で集められた外から光の情報を脳に伝える神経線維(電線に例えられる)の集まりです。この電線のもとになる神経細胞は網膜にあって、そこからの情報を伝達してはじめて、脳で意味のある「ものを見る」ことができます。この電線になんらかの障害を起こす病気を「視神経症」、その炎症を「視神経炎」と呼びます。原因がはっきりせず、不明な場合も多くあります。

【 対処法 】さまざまな検査(視力検査、視野検査、中心フリッカー検査、眼底検査、蛍光眼底造影など)を行い、診断を確定するためにMRI検査を行います。基本的にはステロイドの大量投与を行います(ステロイドパルス療法)。それでも改善しない場合は⾎漿浄化療法を行っていきます。副作用が出れば早急に対処する必要があるため、1週間程度の入院が必要です。

体の病気が原因の場合

体の病気① 慢性頭痛の場合

【 疾患例 】頭痛には緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛があります。
緊張型頭痛とは頭部を締め付けられるような痛みで、後頭部や側頭部、首筋に起こります。筋肉の緊張が神経を刺激することで痛みを生じ、目の奥まで痛む場合もあります。肩こりや首のこりが原因で、市販の痛み止めや頭痛薬が有効です。
片頭痛とはズキンズキンと波打つような痛みで、片側性や両側性、非拍動性などがあります。三叉神経核が過剰反応を起こすことで三叉神経の範囲に痛みを感じ、目の奥の痛みを伴うこともあります。動くと痛みが増し、吐き気や嘔吐、閃輝暗点と呼ばれる前兆現象が起こる場合もあります。10代、20代の若い時期から起こり、男性よりも女性に多くみられます。
群発頭痛とは突き刺すような激しい頭痛や、目の奥の痛み(片側のみ)が1時間ほど続き、その後自然に治ります。

【 対処法 】目のケアが大事になります。頭痛は目の使いすぎで起こっている場合が多いため、こまめな休憩や乾燥対策(加湿器や目薬の使用)が有効です。また、生活習慣を見直すことも大事になります。慢性的な睡眠不足がある場合は、規則正しい生活になるようにしていきましょう。適度な運動を行って、血行を促進するようにしましょう。

体の病気② 副鼻腔炎の場合

【 疾患例 】副鼻腔は、目のくぼみ(眼窩)のすぐ近くに位置しています。風邪やアレルギーなどで鼻の粘膜が腫れたときに副鼻腔に細菌が繁殖して発症します。副鼻腔内に細菌が増殖すると、炎症が強くなり鼻詰まりや鼻水などの症状が現れます。また膿が溜まることで内部の圧力が上昇し、炎症が眼窩に広がり、目の奥が痛むことがあります。目の奥の痛みが出ている場合は一般的に重症といわれているため、早期の治療をおすすめします。

【 対処法 】早期の対処が肝心となります。きっかけは風邪やアレルギーなどであり、副鼻腔内に細菌が繁殖することでおこっています。そのため、日頃から十分な休息を取り、風邪をひかないようにしましょう。また、アレルギー症状があるかたはできるだけアレルゲンの物質を避けてください。鼻詰まりは生理食塩水を使うなどして、鼻を洗浄し、清潔な状態をできるだけ保つようにしましょう。

体の病気③ 風邪・インフルエンザの場合

【 疾患例 】風邪やインフルエンザで目の奥が痛む場合は、副鼻腔炎の合併、結膜炎の合併、頭痛の波及が考えられます。副鼻腔炎の合併は、ウィルスが副鼻腔内で繁殖して、目の奥の神経を刺激することで起こっていることが考えられます。結膜炎の合併は免疫力の低下により、目に細菌やウィルスが感染して、結膜炎になることがあります。

【 対処法 】風邪やインフルエンザにかかることで起こっているため、予防が肝心です。予防接種や規則正しい生活、手洗いを実施して、予防に努めましょう。日頃から免疫力を高め、ウィルスに対する抵抗力を備えておくことです。もし、かかってしまった場合は十分な安静と水分補給を行って、回復するようにしていきましょう。風邪等の症状が落ち着いても、目の奥が痛む場合は眼科を受診しましょう。

03目の痛みや目の奥の痛みに
自分で出来る簡単セルフケア

セルフケアもひとによって効果はさまざまです。ご自身にあったセルフケアを行っていくことが肝要です。紹介していきますので、試してみてください。

セルフケア① 休息

・目の休憩パソコンやスマホの使用は長時間になりがちなので、30分に一度は目の休憩をいれてください。

・睡眠十分な睡眠を取ることで、目の疲れを回復させましょう。

セルフケア② マッサージ

・マッサージ眼球を優しく指でなぞるように回すことで目の疲れ解消につながります。

・ツボ押し目の疲れに効くツボを刺激しましょう。

セルフケア③ 温冷タオル

・蒸しタオルタオルをレンジ等であたため、目に当てるだけで血行が良くなり、目の筋肉の緊張がとけます。

・冷やしタオル目の腫れ等があれば、炎症を抑える効果があります。

04目の奥の痛みを予防するには?

さまざまな原因や要因を解説してきました。日頃からできる予防法を解説していきますので、できることからやってみることをおすすめします。

予防法① パソコンを正しく使用する

・20-20-20ルール20分作業したら、20フィート(約6メートル)先のものを20秒間眺める

・明るさの調整パソコンの明るさと周囲の明るさの調整をする。

・姿勢の改善猫背など悪い姿勢での作業は目に負担がかかります。正しい姿勢を保つようにしましょう。パソコンの画面は見上げるのではなく、正面または少し下げる程度に調整しましょう。

予防法② 生活環境を改善する

・睡眠十分な睡眠を取り、疲労を蓄積しないようにしましょう。就寝前のスマホの使用はできるだけ控えましょう。睡眠の質に影響すると言われています。

・食事栄養バランスが取れた食事を心がけましょう。

・水分補給水分を取らないと目にまで潤いが行き届きません。しっかりと水分補給を行いましょう。一度に大量ではなく、こまめに飲むように心がけましょう。利尿作用のあるカフェインや糖分が多い飲み物は脱水状態を招く可能性がありますので、とりすぎに注意しましょう。

・ストレスリラックスできる時間を設けましょう。

予防法③ 眼鏡やコンタクトレンズの度数をチェックする

度数があわない眼鏡やコンタクトレンズを使用していると目がピントを合わせようと常に緊張状態になり、目の奥の痛みや疲労感を感じやすくなります。眼鏡を使用して数年使っている場合やコンタクトの視力もそのままの場合は年に一度は眼科を受診し、視力検査を行いましょう。度数の変化があれば、変化に合わせた眼鏡やコンタクトを使用するようにしてください。

予防法④ 労働環境の見直し

・湿度乾燥しすぎないようにしましょう。特に冷房・暖房使用時は乾燥しがちです。また、直接目に風があたらないように工夫しましょう。

・照明明るすぎたり、暗すぎないようにしましょう。適度な明るさを保ちましょう。

05目の痛みや目の奥の痛みで
お悩みの方はご相談ください

目の痛みや目の奥の痛みにはさまざまな原因や疾患があることを紹介してきました。重大な病気が隠れている場合もあります。まずはセルフケアや予防法を試してみてください。気になる痛みや状態があれば、受診をおすすめします。また、眼の病気の場合は進行してしまうと回復が難しい場合もあります。そのため、特に40代以上の方は定期的な受診をしていただくと、手遅れになる前に早期発見できる可能性が高くなります。
大阪市立大学時代には、さまざまな症例の手術をしてきました。医院の開院後は地域に根ざした病院として、丁寧な診療と分かりやすい説明を心がけています。地域の皆様のかかりつけ医としてぜひ当院にご相談ください。