#CASE 04目やにが出る

01目やにが出る原因はなに?

目の老廃物やゴミを洗い流す生理機能

目やには、医学用語では「眼脂(がんし)」と言い、目の表面の分泌物や老廃物で構成される皮膚の垢のようなものです。角膜や結膜から脱落した古い細胞などが目やにには含まれています。
健康的な目でも生理的に分泌されるため、少量の目やにであれば問題ありません。

目に異常が起きているケース

細菌やウイルス、花粉などの異物が目に侵入したときに、免疫反応の1つとして目やにが出ます。この場合、目やにには、細菌やウイルス、白血球などが含まれています。また、結膜炎のときに出る目やには、発症している結膜炎の種類や原因によって、色や量なども異なります。いつもよりたくさんの目やにが出ている場合や痛みを伴う場合は眼科を受診していただくのが望ましいです。

02目やにが出る具体的な疾患

麦粒腫(ものもらい)

目やにが多く発生する疾患で、特に発症しやすいのが“麦粒腫(ものもらい)”です。目の炎症に繋がる表皮ブドウ球菌などが、まぶたの毛穴などへ感染することが根本的な原因とされています。
ちなみに、ブドウ球菌は髪の毛や皮膚などに付いている細菌で、人間にとっては近しい存在の細菌です。普段おとなしいブドウ球菌ですが、抵抗力が衰えた身体に対しては強い炎症を起こします。

ドライアイ

ドライアイは目の潤いが無くなり、目が乾いてしまう疾患です。ドライアイによっても目やにの量が増えることがあります。
また、充血や目の疲れ、かすみや痛みなどもドライアイの症状として発生します。
蒸発型ドライアイは、目が乾燥するほどのエアコンの利用、集中して何かを見た時のまばたきの少なさ、ソフトコンタクトレンズが涙を吸ってしまった事の影響など、様々な原因が考えられます。
昨今はスマートフォンのディスプレイやテレビ・PCモニターを集中して見続ける方が多く、ドライアイになりやすい方が増えています。
意識的にまばたきをして目の潤いを保つことや定期的に目を休めながら利用いただくのが望ましいです。

結膜炎

結膜炎とは、まぶたの内側と目を連結する結膜部分に炎症が発生する疾患のことです。
結膜炎を発症すると目やにが従来よりも増加すると共に目やに以外にも目の痛みや充血が伴うのが特徴として挙げられます。
原因も様々で、ドライアイやアレルゲンの暴露による影響や細菌感染・ウィルスによる影響で発症するケースもあります。

流行性角結膜炎

アデノウィルスの感染で発生した結膜炎を流行性角結膜炎と言います。「はやり目」と呼称されることもあり、感染することで大量の目やにが発生します。
流行性角結膜炎は感染力が強く、人の眼脂や涙を通じて、他の人に感染するのが特徴です。 眼脂や涙にアデノウイルスが混ざっています。具体的には、感染者が感染箇所である目を触った手で物に触れた場合、触れた物に触った他の人の手にまで病原菌が移ってしまいます。日頃から手洗いを徹底すること、目を清潔でない手で触れないこと、不必要に目を触らないことで感染を防ぎましょう。

角膜炎

角膜炎は炎症が目の黒い部分(角膜)に発生した状態の事を指し、目やにが出る他、目の違和感、涙が出るなどの不快な症状、目の痛み、充血といった症状が現れます。
原因としてはアカントアメーバ、ヘルペスウイルス、真菌といった病原菌に角膜が感染してしまうことで発症し、病原菌に接触してしまいやすい場面としては、次のような状況が挙げられます。
・木くずなどのゴミが目に付着してしまった時
・清潔でない手で目をこすった時
・清潔でない手でコンタクトレンズを付けた時
・本来使い捨てるコンタクトレンズを繰り返し使用してしまった時 など

涙道閉塞

涙道閉塞では、涙腺から出た涙が目に貯まってしまって、目から溢れ出すような状態になります。涙が溢れる状態となると目やにが増加することがあります。
本来、涙は鼻腔へと流れていきますが、涙道閉塞の状態では涙の流れる管の一部が炎症や疾患で閉じてしまい、結果涙が溢れてしまうことになります。
現在、原因は解明されていませんが、40歳頃から発症の確率が上がり、女性の方がなりやすい症状となります。

涙嚢炎

涙嚢炎は、涙が鼻へと流れなくなり、その涙が通過する涙嚢が不衛生な状態になってしまう事で、炎症が発生した状態です。
涙嚢炎になると目やにが出てくるようになったり、涙が多く流れやすくなったりしてしまいます。

逆さまつ毛

逆さまつ毛は、まつ毛が眼球側に向いてしまっている状態です。内側に向いたまつ毛によって眼球を損傷させてしまうリスクが高まります。
もし、眼球をまつ毛で損傷してしまうと、目やにの増加や充血、眩しさ、痛みなどを招くようになります。あまり危険な病気と認識されにくい逆さまつ毛ですが、視力が下がったり潰瘍が起きたりするケースも少なくありません。
子供の逆さまつ毛は年を重ねていく内に改善していきやすい傾向がありますが、高齢者の場合だと、手術を行ってケアをしなければならないケースも少なくありません。

上顎洞がん

上顎洞がんは顎の骨の裏側に存在する副鼻腔という部位で起きるがんを指します。上顎洞がんによって目の腫れや流涙、目やにの量が増えたケースも存在します。その上、顎洞がんは副鼻腔炎に伴う形で発生しやすいです。
進行が進むと視力が下がり物が見えづらくなったり、複視が起きたり、場合によっては眼球が前方に出てしまうなどの症状を招きます。なお、上顎洞がんは初期段階では表面化しないため、自覚症状が薄く、気付く事ができません。目の異変に気付きましたら、お早めにご相談ください。

03目やにが多いときの対処法

キズなど目への刺激で目やにが多い場合は、
その原因を取り除く

目のキズや目への刺激、異物が原因で目やにが出ている場合は、その原因となるものを取り除くことで目やにを解消できます。
目やにが気になる場合は、コンタクトや目に入ったまつげなどを取り除いてみましょう。それでも、目やにがおさまらない場合は、何かしらの疾患である可能性があるため眼科を受診し検査を受けるのが望ましいです。
また完治するまではコンタクトレンズの使用を控え、メガネを使用することで症状の悪化を抑制することにつながります。

感染性の目やにが多い場合は、周囲に感染が広がらないようにする

普段よりも目やにの量が多かったり、色が異なる目やにが出たりする場合は、細菌やウイルスに感染している可能性があります。細菌が原因の場合には、抗菌剤が配合された市販の目薬の点眼でも対処することができますが、3~4日使用してもよくならない場合は、眼科を受診し適切な治療を受けるようにしましょう。
目薬を使う際は、ノズルの先がまつげなど目の周囲に触れると、細菌やウイルスが付着してしまうため、触れないように気を付けて点眼してください。

04目やにが多いときに気を付けるポイント

こんな目やにが出たら注意

・ドロッとした膿状の目やに細菌感染などの可能性

・やや粘りがあり混濁している目やに急性ウイルス性結膜炎などウイルスが原因の可能性

病原体による感染が原因である場合は、市販薬では改善しないため、早めに眼科を受診しましょう。
また、なかなか目やにが改善しない場合や、目の痛みなどがある場合も、眼科で一度目の状態を確認してもらった方が良いでしょう。

日常生活での注意点

ウイルス性結膜炎をはじめとして、感染力が強い細菌やウイルスが原因となる場合は、一緒に生活している人や近しい人に感染させてしまう可能性があります。
タオルなど、ウイルスを介する可能性があるものは共用を避けるよう準備しましょう。
病原体(ウイルス)の種類によって症状、潜伏期間も異なります。
学校や会社などを休む必要が出てくる場合もあるので、感染拡大を防ぐためにも、早めに眼科を受診し、原因を特定することが大切です。

05眼科に相談すべき目やにの症状とは

目やにの量や状態がいつもと異なる

目やには時間の経過とともに水分が蒸発して乾燥するので、「ネバネバしている時は心配」「乾いている時は問題なし」と一概に言えるものではありません。
特に睡眠中の目やには、夜中にネバネバしていても朝起きた時には乾燥した状態になっているので、目やにの状態だけで原因を判断するのは不十分です。
目やにが多いと感じられる時や、いつもより目やにがネバネバしている時、色が異なるなど異変に気付いた時には、早めに眼科で診察を受けましょう。

目に違和感や異常がある

目やに以外の、目のかゆみ、充血、かすみ目などの症状がある際はアレルギー性結膜炎やものもらいなどの病気が原因の可能性もあります。また、目やにの種類によっても判別ができ、細菌性やウイルス性などによって症状や治療方法も異なるため注意が必要です。病気によっては目やにを介して人に感染させ広がってしまう可能性もあるということにも留意ください。
また、目のかすみ(目やにが出る)の原因のひとつに角膜の傷があり、悪化すると視力低下などさらに重大な症状につながることもあります。違和感がある場合は、原因を自己判断せずに眼科医に相談しましょう。