#CASE 10白内障

01白内障ってどんな病気?

白内障は、目の水晶体が濁ることで、光がうまく網膜(光を受容する非常に薄い膜状の組織)に届かなくなり、視界がぼやけて見えたり、物が二重に見えたりする病気です。水晶体は目の中にあり、凸レンズの役割をしています。カメラのレンズのような働きをしていて、この水晶体があることで、外からの光を集めてピントを調整しています。
多くの場合は、白内障はゆっくり進行していくため、脳が補正し、見にくい視界に慣れが生じており、症状を自覚しにくいと言われています。
白内障は主に以下の3種類に分けられます。

核白内障

水晶体の中心部が硬化して濁るタイプです。加齢とともにゆっくりと進行することが多く、近視が進むことがあります。症状は視界が黄色がかって見えたり、眩しさを感じることがあります。原因は加齢によるタンパク質の変性や酸化が考えられます。

皮質白内障

水晶体の中心部を取り囲む部分が白く濁るタイプです。スポーク状の白濁が特徴です。進行すると視界がぼやけるといった症状が出ます。原因は糖尿病や加齢が考えられます。

後発白内障

白内障の手術後に、水晶体嚢が濁る状態を指します。手術で水晶体を取り除き、人工レンズを挿入しますが、その後の数年で残った水晶体が濁ることがあります。原因は手術後の炎症反応や人工レンズの間に細胞が入り込むことが原因として考えられます。

02白内障によって起きる症状

白内障は字に白いとあるように、目の水晶体が段々と白く濁っていきます。濁り方は個人差があり、一人ひとり違うため、症状も様々です。次のような症状があれば、白内障の疑いがあります。

目がかすむ

最も一般的な症状で、まるで霧がかかったように、全体的にぼやけて見えます。ものがはっきりしないように感じたりします。

視力が低下する

文字が読みにくい、細かい作業がしにくく、億劫になる傾向にあります。

光をまぶしく感じる

太陽光や車のヘッドライトがまぶしく感じるようになります。

眼鏡の度が合わなくなる

水晶体の濁りの進行状況により、眼鏡の度数が合わなくなっていきます。度数を頻繁に変えないと合わなくなります。

ものが二重に見える

水晶体の濁り方が不均一であると、物がダブって見えたり、ゆがんで見えたり、レンズの役割に影響します。

目が疲れやすい

見え方の変化により、はっきり見えなかったりするため、ピント調整機能等が働き、目の疲労を起こしやすくなります。

近視が進行した

白内障の種類により、近視が進行する場合があります。核白内障といわれるもので水晶体の中心部が硬くなり、レンズの屈折力が強くなるため、近視が進む場合があります。

日中と夜間で見え方が違う

光の感じる度合いが違うため、光がある日中と夜間で大きくことなることがあります。夜になると、瞳孔が光を集めるため、開きます。そうすると、光を多く取り込もうとするため、結果的にまぶしさやハロー現象と言われる虹のような輪が見える現象が夜間だけ起こります。

03白内障の原因

加齢によるもの

さまざまな原因がありますが、最も一般的な原因は加齢といわれています。加齢によって、水晶体を構成するタンパク質が変化(酸化・糖化)し、濁ってしまうことが原因です。そのため、段々と年齢を重ねるに連れて、白内障の方が増えていきます。加齢を原因とする白内障は、ゆっくりと進行していきます。男性、女性の性差はありません。

その他の原因によるもの

その他にも原因として、糖尿病・薬の副作用・合併症・ステロイドの薬の長期使用・先天性の疾患・目のケガや手術などの外傷があるといわれてます。

04白内障はどうやって治すの?

手術による治療

一般的な治療法が白内障手術であり、濁った水晶体をクリアな人工レンズに交換することで、視力が大幅に改善します。非常に安全で確立された手術方法です。年間約150万件以上の手術がされていると言われており、さらに高齢化が進むため、手術件数はさらに増加するといわれています。
ここから人工レンズ(眼内レンズ)の種類について説明します。

単焦点レンズ

【 特長 】1つの距離にピントが合うように設計されたレンズです。どこにピントを合わせるのかは、生活の仕方に応じて選ぶことができます。選び方は、生活スタイルを大きく変えずにすむ眼内レンズを選ぶことです。例えば眼鏡をかけて手元の作業をすることが多い方は、目から約30㎝先にピントが合う眼内レンズを選ぶと便利です。現代生活では裸眼でスマートフォンを操作できる距離にピントが合うレンズが生活に合っているかもしれません。ただし、近くにピントを合わせた眼内レンズを入れた場合、遠くを見るときには近視用の眼鏡が必要です。

【 メリット 】・視力が安定し、クリアな視界が得られます。
・健康保険適用がされるので、費用が安価となります。
・長年の臨床の実績があります。

【 デメリット 】眼内レンズにはピント調整機能がないため、手術後も眼鏡が必要な場合があります。

他焦点レンズ

【 特長 】遠近両用メガネに近いものです。遠くと近くの2つの距離にピントが合う眼内レンズです。3か所にピントが合うものや拡張焦点深度(EDOF)型も登場しています。ただし、現在は保険診療での手術は受けられない場合がほとんどです。

【 メリット 】遠くも近くもある程度は裸眼でクリアに見え、日常生活の利便性が高いです。

【 デメリット 】・健康保険適用外になる場合がほとんどで高額になります。
・光の乱れを感じる場合があります。

乱視矯正眼内レンズ(トーリック眼内レンズ)

【 特長 】乱視を矯正することができるレンズです。単焦点のトーリック眼内レンズと多焦点のトーリック眼内レンズ、両方があり、手術は健康保険適用になります。

手術以外の治療法

点眼薬と眼鏡やコンタクトレンズの利用があげられます。これによって視力の一時的な改善は見込めますが、水晶体を濁りのない透明な状態に戻すことはできません。
もし、喫煙している場合、紫外線を多く浴びている場合は白内障の進行を早めることにつながるため、生活習慣の改善が重要です。
治療法には手術または非手術がありますが、現代の医療では白内障を手術せず完全に治すことはできません。なぜなら白内障は水晶体が濁ることで発症します。
一度、水晶体が濁ってしまうと、自然に透明の元の状態に戻ることがないためです。残念ながら、今のところ手術以外で濁りを解消する方法はありません。

05白内障の手術のよくある質問

手術後すぐ見え方が変わるのですか?

多くの方が翌日から見えるようになります。場合によっては手術後の炎症によってハッキリ見えるまで、数日から1週間程度かかる場合があります。長年の慣れで、視力の低下に自覚していない場合も多いですが、手術後は日常生活だけでなく、趣味にも楽しく打ち込めるようになった、運転も楽になったという声も聞きます。視界が明るくなり、しっかりと見えるだけでQOLの向上に繋がります。きれいな景色が蘇り、感動される方も多くいらっしゃいます。早く手術すればよかったという声もよく聞かれます。

手術費用はいくらかかりますか?

高額療養制度の対象のため、収入によって変わってきます。高齢の方が多いため、高齢の方の場合を紹介します。
健康保険の自己負担割合が1割負担の方がほとんどの場合、1ヶ月あたり8,000円となります。
健康保険の自己負担割合が2割負担の方がほとんどの場合、1ヶ月あたり18,000円となります。
上限額は保険適用の区分によって変わってきますので、健康保険の対象を確認してください。ご自身が加入されている協会けんぽ、健康保険組合、市区町村の国民健康保険窓口のいずれかに、ご確認ください。

手術当日にかかる時間は?

手術自体は5〜10分程度で終わる比較的短い手術です。術後の過ごし方が大事になってきます。注意点は以下のものがあげられます。術後すぐに傷口は塞がりますが、術後数日間は目の表面に傷が残っている状態です。目を強く押さえられたり、入浴や洗顔など、目の中に細菌が侵入するリスクのある行動は避けてください。
また、保護メガネ・眼帯などを付けることで細菌の侵入、紫外線、ホコリ、風などから目を保護する効果や、手や物が目に当たることを防ぐことが期待できます。医師の許可が出るまでは外さずにお過ごしください。

入院が必要ですか?

入院せず、日帰り手術が可能です。日帰り手術のメリットとしては費用が抑えられること、日常生活への復帰が早いことです。日帰り手術のデメリットとしては、術後の経過観察があることです。特に、手術当日は緊張や疲労感を感じることがありますので、家族のサポートがないと厳しいかもしれません。手術後、しばらくは安静にしていなければならないためサポートが必要になります。

すぐに手術を受けることはできますか?

かかりつけ医で定期受診先なのか、初診なのかで変わってきます。初診の場合、一般的には1か月から数ヶ月くらいだと見ておきましょう。患者様の状態や状況をしっかりと検査等をして把握したうえで、手術しないと信頼がおける医療機関とは言えません。医療機関の体制や緊急度によりますので、まずは受診先に相談してみましょう。

06これって白内障かな?と思ったら。
白内障セルフチェック

次のような症状があれば白内障の疑いがありますので、ご家族の行動の変化やご自身にあてはまる項目がないか、一度チェックしてみてください。

新聞や情報誌など紙媒体を読んでいると疲れる

天気によって見えにくく感じる日がある

遠くの景色を見たときに左右の目で見え方が異なる

離れた人の顔がよくわからない

夜の車のヘッドライトが眩しい、外灯のライトがぼやける

遠くの標識が見えにくく違和感があるが、痛みや充血はない

自動車免許の更新ができなかった

眼鏡をあわせたのに3年以内に合わなくなった

視界がかすんで鬱陶しく感じる

距離感が低下しているためか、よく転ぶことがある

左右の視力に差があり、見えにくい方の目が良い方の目の邪魔をしているような気がする

テレビの字幕などが見えづらい

片目で見たときに、だぶってみえる、三重に見える

視力が悪く、悪い方の目だけでは歩けない

精密な作業(趣味も含める)をすることがあるが、視力が低下してきて続けられないことがある

スマホのWEBサイトの文字を大きくしないと見えづらくなった

07白内障のできる予防について

白内障は完全に予防することは難しいと言われていますが、生活習慣の見直しや紫外線対策などが有効でしょう。

紫外線対策

・サングラスの着用UVカット機能のあるサングラスを着用することで、眼に届く紫外線をカットし、水晶体の酸化を抑制します。

・帽子をかぶるつばの広い帽子をかぶることで、目元を直射日光から守りましょう。

・日中の外出を控える特に紫外線が強い時間帯の外出は控え、室内で過ごすようにしましょう。

生活習慣の改善

・適度な運動定期的な運動は、全身の血行を良くし、白内障の予防にもつながります。

・喫煙している方は禁煙喫煙は、全身の血管に悪影響を与えるだけでなく、眼にも悪影響を及ぼし、白内障の発症リスクを高めます。

・バランスの取れた食事を取る特に、抗酸化作用のあるビタミンCやEを多く含む緑黄色野菜、果物を積極的に摂取しましょう。

定期的な眼科検診

定期的な通院で、早期発見・早期治療ができます。眼科を受診しましょう。

08目の見え方が気になる方は
よねだ眼科にご相談ください

白内障は濁り方の進行にも、個人差があり、濁る箇所も一人ひとり違います。水晶体の中心部(核)から濁る方もいれば、周辺部(皮質)から濁りが始まる方もおり、部位により、症状も変わってきます。中心部が濁ると「まぶしい」「くすんで見える」「かすむ」といった症状が現れ、周辺部の場合は視力の異変を感じづらいといわれています。中心部も周辺部どちらも濁ると、見た目でも明らかに白く見えるため、少しでも見えにくいなとおもったら眼科に、相談にいきましょう。
よねだ眼科の院長は大阪市立大学附属病院において、クリニックや総合病院から治療の難しい患者様を紹介いただき、数多く難手術を執刀してきました。現在も、木曜日は星ヶ丘医療センター(元 星ヶ丘厚生年金病院)で手術を執刀しています。
患者様にはしっかり時間をかけてご説明いたします。不安なことや気になることなどがあれば、遠慮なくご相談ください。