#CASE 14麦粒腫・霰粒腫
(めばちこ、ものもらい)

01麦粒腫(ばくりゅうしゅ)・
霰粒腫(さんりゅうしゅ)とは?

麦粒腫(ばくりゅうしゅ)とは

麦粒腫(ばくりゅうしゅ)とは「ものもらい」「めいぼ」「めばちこ」と呼ばれるもので、細菌感染によって発症します。まぶたには、汗や涙の毛穴や分泌腺がありますが、その小さな孔(あな)から細菌が感染して症状を引き起こします。感染した場所により内麦粒腫と外麦粒腫に分類されます。内麦粒腫はまぶたの内側にあるマイボーム腺に細菌が感染します。腫れた場合も奥の方にあるため、外見からは気づきにくいことがあります。外麦粒腫はまつげの根元の汗腺や毛包に細菌が感染します。まつげの生え際に赤い腫れが見られます。

霰粒腫(さんりゅうしゅ)とは

霰粒腫(さんりゅうしゅ)とはまぶたの中にできる小さな固い腫瘤(しゅりゅう)のことです。
腫瘤とは「こぶ」や「ふくらみ」のことで、体の組織で何らかの理由でできます。涙の成分を分泌する脂の腺(マイボーム腺)の出口がつまることで、その中に粥状の分泌物がたまって肉芽腫(にくげしゅ)を形成したものです。麦粒腫と異なり、細菌感染を伴わない無菌性の炎症です。

麦粒腫と霰粒腫の違い

麦粒腫と霰粒腫のどちらもまぶたが腫れて開けづらくなる疾患ですが、原因や症状が異なります。
ものもらい(麦粒腫)は、まぶたが腫れてかゆみ、痛みが伴います。まぶたの汗腺やまつげの毛根、脂腺が細菌に感染して炎症が起こります。
一方、霰粒腫とは、まぶたのマイボーム腺に脂肪が詰まって肉芽腫という「しこり」が生じる疾患で、どちらも痛みが生じるため、初期段階では区別がつかないのが特徴です。

他にもよく似た疾患は?

・表皮嚢腫良性の皮膚腫瘍のことを指し、粉瘤やアテロームと呼ばれています。
毛穴部分の皮下に袋状の組織があり、そこに角質や皮脂などが溜まる疾患を表皮嚢腫と呼びます。
患部が細菌に感染すると、腫れが生じ痛みを引き起こします。霰粒腫よりも、しこりが動き、可動性があるのが特徴とされます。
目薬や軟膏の効果がないため、目の近くに出来た場合は手術で袋状の組織ごと摘出します。

・脂腺癌まぶたに発生する悪性腫瘍を脂腺癌と呼び、再発や転移を引き起こしやすい病気です。比較的まれな皮膚がんの一種です。原因は完全に明らかになっておらず、遺伝的要因や紫外線への長期間の曝露などが挙げられています。
まぶたのマイボーム腺から発生することが多く、霰粒腫と似ていることから初期症状では判断がつかないとされています。
初期症状では区別がつかず、霰粒腫として手術・治療を行っても、何度も再発することで脂腺癌と診断されることもあります。

02麦粒腫ができた場合の対処法は?

麦粒腫は自然治癒する?

麦粒腫(ものもらい)が自然治癒した、いつのまにか治ったことがある方もいらっしゃるでしょう。
軽症の場合は自然と治ることもありますが、放置をしていると、細菌感染が広がって悪化してしまう場合もあります。
放置して大きく腫れたり、膿が溜まった状態になると治療のために何回も通院することになります。治癒にもそれだけ時間がかかります。
発症して、数日経っても改善しない場合や悪化しているのが少しでも感じられる場合は、なるべく早めに眼科を受診して医師からの治療を開始するようにしましょう。

麦粒腫ってどうやって治すの?

麦粒腫は、抗菌薬の点眼薬・内服薬・眼軟膏を使用して治療を行っていくのが基本です。多くの場合、薬を正しく使用すれば、1週間程度で治ります。
ただし、腫れが大きい場合や膿が溜まっている場合はすぐに治らない場合があります。膿が多い場合は、溜まった膿を出すために切開や穿刺(せんし)することもあります。痛みや違和感を少しでも感じたら、ひどくなってしまう前に早めに眼科を受診して治療を開始しましょう。

麦粒腫ができた場合は病院に行くべき?

細菌感染で発症する麦粒腫(ものもらい)は特に「そのうち良くなるだろう」と自己判断で自然治癒を待つのは危険です。
処置せず、放置することで感染が拡大してしまい、症状の悪化を招く恐れがあります。悪化すれば、治癒にそれだけ時間がかかることになります。
また、腫れや痛みが治まっても安心はできず、細菌がまだ残っている場合は再発することも考えられます。
症状が数日たっても改善しない、悪化している場合、熱や他の症状が出ている場合はご自身の判断で様子をみたりせず、眼科を受診して医師の適切な検査・診断を受けるようにしましょう。

03霰粒腫ができた場合の対処法は?

霰粒腫は自然治癒する?

霰粒腫は、しこりのみでそれほど大きくなく、あまり気にならない場合は様子をみても構いません。これは何もしなくてもいいというわけでなく、しっかりと様子を把握・確認するという経過観察の状態です。特に発症して1週間程度は、しこりが小さくても大きくなる場合や進行する場合もあります。
治療するのであれば、早期の場合や手術を希望されない場合は短期間ステロイド薬を局所的に使用してしこりが小さくなるよう試みます。薬でしこりが無くならない場合は手術で切開して摘出してしまうこともあります。
急性霰粒腫といって、しこりに細菌感染が伴っている場合は、抗菌薬を用いて麦粒腫と同様に治療を行います。これで感染は治まりますが、しこりは残ることが多いため、しこりについては前述の通り治療します。

霰粒腫ってどうやって治すの?

霰粒腫の発生によって生じたしこりが小さければ自然に治る場合もありますが、経過中に感染を起こして化膿性霰粒腫を発症している場合には、抗菌薬の点眼や軟膏を使用します。大きい場合には、ステロイドの注射や手術による摘出が必要になる場合があります。しこりのサイズは米粒〜大豆ぐらいの大きさといわれています。

霰粒腫ができた場合は病院に行くべき?

霰粒腫は治療をしなくてもほとんどの場合、長くても8週間程度で消失します。
もし、1か月以上経過しても症状の改善が見られない場合は病院に行きましょう。医師の適切な検査を受けて、治療を進めましょう。
治療は赤みや痛みがある場合は抗菌薬の点眼での治療を行っていきます。
しこりのみで痛みがない場合はステロイドの軟膏や点眼による治療を行いますが、ステロイド治療を行っても、しこりが残ることがあります。その場合、どうしても気になるということであれば手術で内容物を摘出します。

04麦粒腫・霰粒腫の予防方法とは?

目の周辺を清潔にすること

もし目を触る場合は手をこまめに洗い、清潔になった手指や爪にしてから目を触ってください。また、目元を洗うことで汚れや脂肪の詰まりを落とすことも効果的です。
ひとによっては、眠くなると癖で目をこする方もいらっしゃると思いますが、不用意に触らないことが望ましいです。

コンタクトレンズの正しい使用法を守る

コンタクトレンズの汚れなどが原因となることがあります。清潔に取り扱いましょう。使用方法や使用期限を正しく守ることが大事です。ものもらいが出来た場合、少しでも違和感を感じた場合はコンタクトレンズの使用を控えてください。レンズを眼に入れた時にゴロゴロする場合や充血等の炎症が見られるときも使用を控えるようにしてください。

アイメイクの落とし忘れにも要注意

女性はメイクをする機会が多いと思いますので、まずは清潔な手で触るようにしてください。また、メイクの際はまつ毛の根本ギリギリや粘膜までアイメイクをしてしまうとマイボーム腺の詰まりの原因になりますので、注意してください。
パフやスポンジは雑菌が繁殖しやすい素材です。発症していたら患部に触れないようにしましょう。帰宅後のクレンジングでは、不十分だと詰まりやすくなりますので、まつ毛の生え際までしっかりと化粧を落とすよう心がけましょう。

05まぶたのできものは眼科と皮膚科
どちらに相談するのが良い?

まぶたに腫れ、痛み、かゆみ、デキモノができた場合は「皮膚科と眼科のどちらを受診すべきか?」という疑問を持たれることもあるでしょう。
まぶたの症状は単に皮膚のトラブルではなく、目のトラブルで起こっている可能性が高いです。急性霰粒腫の場合は、ものもらいとの区別が難しい場合もあります。
そのため、目の状態を確認できる眼科を受診することが望ましいと考えます。どちらに行くべきか迷った場合は眼科を受診したほうがいいでしょう。
ここからは当クリニックの紹介をします。診療では麦粒腫・霰粒腫、結膜炎、白内障、緑内障、糖尿病の眼の合併症、網膜疾患などの治療をしており、手術においても白内障手術、硝子体手術、まぶた手術、硝子体内注射、レーザー治療を行っています。
医院の開院後は地域に根ざした病院として、丁寧な診療と分かりやすい説明を心がけています。眼に関する一般的な相談から手術などの専門的な相談まで、幅広く対応できます。
地域の皆様のかかりつけ医としてぜひ当院にご相談ください。