霰粒腫(さんりゅうしゅ)とは
霰粒腫(さんりゅうしゅ)とはまぶたの中にできる小さな固い腫瘤(しゅりゅう)のことです。
腫瘤とは「こぶ」や「ふくらみ」のことで、体の組織で何らかの理由でできます。涙の成分を分泌する脂の腺(マイボーム腺)の出口がつまることで、その中に粥状の分泌物がたまって肉芽腫(にくげしゅ)を形成したものです。麦粒腫と異なり、細菌感染を伴わない無菌性の炎症です。
麦粒腫と霰粒腫の違い
麦粒腫と霰粒腫のどちらもまぶたが腫れて開けづらくなる疾患ですが、原因や症状が異なります。
ものもらい(麦粒腫)は、まぶたが腫れてかゆみ、痛みが伴います。まぶたの汗腺やまつげの毛根、脂腺が細菌に感染して炎症が起こります。
一方、霰粒腫とは、まぶたのマイボーム腺に脂肪が詰まって肉芽腫という「しこり」が生じる疾患で、どちらも痛みが生じるため、初期段階では区別がつかないのが特徴です。
他にもよく似た疾患は?
・表皮嚢腫良性の皮膚腫瘍のことを指し、粉瘤やアテロームと呼ばれています。
毛穴部分の皮下に袋状の組織があり、そこに角質や皮脂などが溜まる疾患を表皮嚢腫と呼びます。
患部が細菌に感染すると、腫れが生じ痛みを引き起こします。霰粒腫よりも、しこりが動き、可動性があるのが特徴とされます。
目薬や軟膏の効果がないため、目の近くに出来た場合は手術で袋状の組織ごと摘出します。
・脂腺癌まぶたに発生する悪性腫瘍を脂腺癌と呼び、再発や転移を引き起こしやすい病気です。比較的まれな皮膚がんの一種です。原因は完全に明らかになっておらず、遺伝的要因や紫外線への長期間の曝露などが挙げられています。
まぶたのマイボーム腺から発生することが多く、霰粒腫と似ていることから初期症状では判断がつかないとされています。
初期症状では区別がつかず、霰粒腫として手術・治療を行っても、何度も再発することで脂腺癌と診断されることもあります。